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実家の物置にはスケッチブックとたくさんのノートがあった。そこには下手クソな漫画がたくさん描いてあった。 幼稚園の頃から外で遊ぶよりお絵かきが好きだった。小学生になると友達の真似をして、少女漫画を描くようになった。休み時間は外で遊ばず、絵を描…

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2年前の冬にもう一度展示をしようと妹と決めた。次の年だと準備も間に合わないから、2年後の春にやることにした。 タイトルは「私生活」 けれど1年前突如現れたコロナウイルスによって、私たちの生活はどんどん制限されていった。普通が普通ではなくなり、…

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今年読んだ「光の指に触れよ」の中でとても残ってる言葉がある。 「きみは何が好きなんだ?何に夢中になってるんだ?」と森介に聞かれた明日子は「絶対のもの」と答える。 「神様みたいで、でももっと冷たくて、硬くて、どうやっても近づけない。遠くの方で…

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以前の職場は休みがとりやすくて、少しでも写真の仕事ができたらと思って選んだ。そこに勤めた3年半で展示を3回できたから休みはとりやすかった。ただ写真の仕事をしたことはなかった。そのうち働く時間が増えていった。先輩たちがどんどんやめていく中、私…

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写真を撮りはじめた頃人は撮らず、目の前の風景や花ばかり撮っていた。撮るときは決まってひとりだった。 ある頃から人の写真も撮るようになる。きっかけは他人の撮った写真を見て私だって撮れると思ったから。私は人を撮るとき決して距離を縮めない。たとえ…

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不安な日々を過ごしてる最中、一子さんが3月に書き溜めた日記をZINEにして販売するとなり、うれしい気持ちというより安定剤を求めるような気持ちで購入。コンコ堂さんの通販で購入しようと思ってたところ、あっという間に完売してしまい、慌てて在庫のあるオ…

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次の仕事が決まっても出勤できないため毎日を家で過ごしている。今までの生活があまりにもひどいものだったから、自炊したり、掃除したりしてる今の生活の方が日常に近いのかもしれない。 でもほんとうにそれが私の日常なのだろうかと考えるとやはり違うと気…

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3月末に仕事をやめて応募してたところから、ようやく昨日採用通知が来てひと安心したものの、このご時世なので出勤日は少し先になるよう。 この1週間で部屋を片付け、初めてひとりで味噌汁を作り、実家からトイレットペーパーを送ってもらったり、突然ドーナ…

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世間が不安定になっていても私は変わらず生活をしている。 やらなければいけないことがたくさんあるのに何もやる気が起きない。誰かに嫌味を言われたわけでも、失恋したわけでもない。 私は私でいれる場所をずっと探してきたけど、その場所はまだ見つかって…

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昔好きだった人のことを忘れてしまいそうになったことをきっかけに、15歳の時に日記を書くようになった。この日の出来事を気持ちを忘れないようにと毎日ではなかったけれど、何かあれば必ず書くようにしていた。 今でも日記を書いていた10代の頃の記憶は本当…

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つらいことがあったら笑うというのはいつから身についたのかわからないほど、ずっとそうしてきた。 小さい頃に家の中が怖くて仕方ないとき、たくさん泣いたこともあった。けれど誰も助けてくれないし、自分で変えることもできなかった。 そんな幼少期を過ご…

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映画自体はあまり観る方ではないが、好きな映画はいくつある。なかでも一番はずっと変わらない。それが岩井俊二監督の「花とアリス」だ。 当時15歳の私はまだ家のパソコンがブラウン管のように大きかった頃に花とアリスに出会った。 元々はキットカットのCM…

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私に写真を教えてくれたのは有名な写真家やカメラマンやSNSでもなくて、宮﨑あおいさんです。 彼女の立ち振る舞いや演技はもちろん、ありのままの生き方がとても好きで、彼女がフィルムにこだわって写真を撮ってるのを知りました。 18歳のクリスマスが近くな…

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師走なのに年末感がないまま日々を過ごしてる。 毎年あっという間と思うが、今年は少しだけ感覚が違う気がしている。 毎年何もないまま今年が終わると師走になるといつも焦るが今年は特に焦ることがない。 そう思うのは2月に個展をやったことが大きい。 もう…

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感傷に浸ってるだけと言われたらそうなのかもしれない。いつも想像力がなくて、自分の身に起きたことでしか表現できない。なにより私の写真はとても弱かった。誰かに届けようとも思ってないその写真はどこまでもひとりよがりで、どこまでも孤独だった。本当…

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6年前のことを思い出した。 何もかもが嫌で、街に出れば鏡に映る自分の姿を見る度嫌になり、真っ暗な部屋に帰ればひとり声を出して泣いた。 何もなかった。何も。自分が嫌になるくらい、誰もいなかった。誰も思い浮かばなかった。 そんな時にラジオではじめ…

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平成元年2月に私は産まれた。 予定日を過ぎても産まれてこなかったため、陣痛を起こす薬を使うことになった。 双子だった私はもうひとりよりも先に産まれたのでお姉ちゃんになった。 母は名前をつけるとき平成元年生まれだから平成の文字を入れようと思った…

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駅までの帰り道、車の中で慌てて除光液で爪の青色を落とした。 3月で上京して8年が経った。22歳だった私も気付けば30歳になった。 あの頃言われた母の「いつでも帰っておいで」は私にとってはお守りみたいな言葉で、でも自分の中では「今さら後には引けませ…

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中学生の頃、数学の先生が少し変わった先生で数学の授業中なのに全然関係ない話をして、それについてみんなで意見を出し合ったりすることがたまにあった。(例えばA子さんはB子さんに頼まれて授業中手紙をまわしてたら、それが先生にバレてA子さんが怒られて…

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人から言われる「絶対」という言葉を信じることができない 「絶対」という言葉が嫌いというわけではない むしろ私は私自身に絶対という言葉をよく使う 小学生の頃「絶対に誰かに言わないでね」といわれた約束を私は大人になるまで守っていたら、「まだ守って…

2011年3月、22歳のときに上京した。 3月11日 私は地元の花屋で働いていた。水切りをしてる最中、突如目眩のようなものが襲い、倒れそうなったが、バケツの水面が揺れているのに気付き、目眩ではないことがわかった。 地元の花屋で2年働き、奨学金を全額返済…

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2015年、まだZINEというのも今ほど知られてなかったときにはじめて作った。 その年はじめてフォトコンなるものに応募するため自分の写真を冊子にしようと思ったものの、その時の私はフォトショの使い方もわからず、どこで印刷すればいいのかもわからず、本当…

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個展が終わってもうすぐ2週間が経ちます。 個展終了の翌日からウイルス性の胃腸炎になるという、いかにも私らしく今思い返すと少し笑えます。3日も寝込んでしまい、ゆっくり展示を振り返ることもできず、ただ時間だけが過ぎていき、しまいにはあれは夢だった…

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よくアーティストの人が「自分の中にある個人的な思いを歌にしたら、それがたくさんの人に届いて」というのを聞いたことがある。 私もそれと同じで、ある人に届けたいと思ってたものが知らないうちにたくさんの人に届いて不思議な気持ちになってます。 展示…

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小学生の頃通信簿に「クラスで目立つことはありませんが」と書かれていたのを今でも覚えてる。教室にいる時はいつもはじっこ、いじめられるわけでもなく、目立つわけでもない、それが私だった。 勉強ができるわけでもなく、運動ができるわけでもない。絵がう…

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いつの日からか変わらなきゃと思うようになった。 10代の頃はそんなこと一度も思わなかったし、20歳になった時にも変わってゆく人達の中で変わらない私を見て「変わらないでね」と言われた。 今の状況に満足してなくても、変わらなくても何も問題はなかった…

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私は一度好きになると頭がおかしくなるくらい好きになってしまう。 その人の為ならなんだってやるし、最後には死ねるくらい好きだなんてことまで思ってしまう。 たとえばその人の声が出なくなることがあれば、すぐにでも自分の声帯を差し出す。 私はずっとこ…

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小さい頃からみんなと同じがあまり好きではなかった。 小学生の頃に仲の良い友達と筆箱を買いにデパートに行ったとき、偶然同じクラスだけど違うグループの少し気の強い子に会ってしまった。 その子に筆箱を買いに来たと言うと「じゃあ3人でおそろいにしよう…

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小学校6年生の時に友達から「NANA」の1巻を借してもらい放課後に校庭の隅で隠れて読んだ。 それまで少女漫画を読んできた私には少し大人な世界だった。この頃私にとっても東京はとても遠いところであり、いつかこの町を出ようとまではそのとき考えてなかった…

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何度も地元に帰ってきなよと言われるし、何度もどうして東京にいるのと聞かれる。 いつだって離れることができると思われている。本当のことだから仕方ない。 地元は嫌いではないけれど、私にとってはたまに帰ってくるくらいが丁度よくて、きっとここで暮ら…