06
何度も地元に帰ってきなよと言われるし、何度もどうして東京にいるのと聞かれる。
いつだって離れることができると思われている。本当のことだから仕方ない。
地元は嫌いではないけれど、私にとってはたまに帰ってくるくらいが丁度よくて、きっとここで暮らすことはもうないのだろうなと思う。
東京にいたらたとえ個性のない私でもそれなりに格好がついていた。
夢をみたこの街で、憧れを抱いたこの街で、私は何回泣いたのかわからない。
それでも私はこの街を
どうしてもここを離れたくないと思ってしまう。
理由はほんとうに単純でくだらなくて、変わらないなと笑ってしまう。
私が帰りたいと思うのは誰も待っていない東京で、最近は東京からどんどん離れるとかなしくて仕方ない。