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以前の職場は休みがとりやすくて、少しでも写真の仕事ができたらと思って選んだ。そこに勤めた3年半で展示を3回できたから休みはとりやすかった。ただ写真の仕事をしたことはなかった。そのうち働く時間が増えていった。先輩たちがどんどんやめていく中、私はどうしてここで働いているんだろうと思うようになった。仕事を変えるのは面倒だった。怒られることもなくなったし、怒る人もいなくなった。でも私はここにいてもきっと何も変わらない。そして私はどうしても3年以上同じところに留まることができない。何かの拍子であっという間に切れる。

後先考えずにやめたものだから、転職活動は難航した。それでも今の職場は自分で選んだ。だけどまた間違えてしまった。予定より2ヶ月遅れた初出勤の日に私は泣きながら帰った。怒られたわけでも、怒鳴られたわけでもない。こんなはずじゃなかったのにと泣いた。どんなに嫌な仕事でも一年は続けることをずっとやってきた。だけどあと一年は遠すぎて何も見えなかった。勇気を振り絞って9月でやめたいと言ったのに、次が決まるまではここにいてほしいと言われる。どうしていつもやめたいと言っても受け入れてもらえないんだろう。それでも言えたことで少しだけ希望が見えた。それなのに同期がひとり今月末でやめることになった。私はどうなるんだろう。怖くて何も聞かなかったけど、私はここにいたくない。自分に何も残ってないからどこにも行けないし、誰も信じてないからどこにも帰れない。

前職をやめると決めたときに以前お世話になった上司に話したら次の職は決めたのかと聞かれた。私がまだ決めてないと言うと冗談まじりにあれをやりなよ、これをやりなよと言ってきて。私がどれも「嫌ですよ」と答えると最後に「じゃあ写真やりなよ」と言ったときは本当に驚いた。写真をやってることは前職では隠してたし、一度だけ長期休暇の理由を聞かれて答えたことがあったくらいで自分から言ったことはなかった。私は「やりませんよ」と笑いながら答えた後に冗談でも言ってくれたのがうれしかったことに気付いて「ああ、私は写真がやりたかったんだ」とわかっても結局最初に戻っただけで何も進んでないことに気付いてまたかなしくなった。私はもう私をやめたい。