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つらいことがあったら笑うというのはいつから身についたのかわからないほど、ずっとそうしてきた。

小さい頃に家の中が怖くて仕方ないとき、たくさん泣いたこともあった。けれど誰も助けてくれないし、自分で変えることもできなかった。

そんな幼少期を過ごしたせいか、私は誰かが怒られてたり、喧嘩して言い争いになってる姿を見ることができない。たとえ自分に関係のない人であっても怖くて仕方ない。

小学生の頃、友達同士が絶交の話をしてるときも、とにかく怖くて、なんとかこの状況を変えたくて何かできることはと思った私は笑ってみせた。が逆効果だった。ふざけないでと怒られてしまった。

その後も笑うという行為はとても友好的な関係を築くために何度も使った。おかげで笑い方もうまくなったけれど、笑った顔を褒められたことは一度もなかった。

相槌なんかもうまくなってきて、元々怒ることも好きではなかったので、にこにこ笑ってみせて日々を過ごしていた。

でもふとした時に、全く笑えなくなってしまう。何も考えることができず、ただぼんやりどこか遠くを見てる姿を見られたときは大丈夫?と心配された。

そしていつのまにか何人もの自分ができあがった。そこに本当の自分はいなかった。

私は誰なんだろうと何度も思う。きのうの自分はどこにもいなくて、今日の自分も誰なのかわからない。笑っているのは誰なんだろう。