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中学生の頃、数学の先生が少し変わった先生で数学の授業中なのに全然関係ない話をして、それについてみんなで意見を出し合ったりすることがたまにあった。(例えばA子さんはB子さんに頼まれて授業中手紙をまわしてたら、それが先生にバレてA子さんが怒られて、この場合悪いのは誰?みたいな。ちなみにこれは先生の実体験の話。)

その授業で一番大きいテーマだったのが「人は何のために生まれてきたのか」というものだった。いろんな人が意見を出したけど、全部先生は否定をした。最後まで答えはでなくてその解答を宿題のノートに書いて提出するようにとなった。クラスのみんなが何を書いたのか知らないままだったけど、私には数学より簡単な問題だったから迷うことなく答えを書いた。

しかしそのノートを休み時間友達に勝手に見られたとき、散々からかわれて、大笑いされたのを今でも覚えてる。「かっこいいこと書いてるね〜〜〜!!!!!!」と友達3人くらいに笑いながら言われた。

当時の私はそういうのを真面目に書くような人だと友達には思われてなかったのだと思う。その場をどうしたのかあまり覚えてないけど、おそらく作り笑いでもしたんだと思う。卒業までその子たちとは仲も良かったけれど、今はもうなにひとつ繋がりがない。

 

高校生の時、音楽をちゃんと聴くようになってからひとりて歌詞を書いたりするようになった。と言っても誰に言うわけでもなく、デタラメなメロディをつけてなんとなく口ずさむ程度。

そんな中友達が組んでたバンドで1人の子が歌詞を書いてきたと言って、それをみんなに見せていた。いかにも切ないといった言葉やありきたりな言葉が並べられたその歌詞は何も響かなかったけど、誰もその子の歌詞を笑ったりしなかった。みんなすごくいいよ、泣けるとか言いながら褒めていた。もちろん誰も泣いてなんかいなかった。

その時思ったのは笑われたのは私の言葉じゃなくて私自身なんだろうなと思った。だからもう誰の前でも本当のことは言わないし、書かない、そう思った。

SNSが普及してきた頃、ばかにされるのが怖くて本心はどこにも書かないでいた。でもそしたらどんどん自分を偽っているのが苦しくなって、ある時思いきって本当のことを書いてみた。人の反応が怖かったけれど誰も笑わなかった。むしろ共感してくれたり、優しい言葉をかけてくれる人までいた。

うれしかった。個展でも私の言葉や文章も好きですと言ってくれる人がいて。本当にありがとうございます。

中学生の私を救うことはできないけれど、今は泣きたいときに泣いてます。ただ、まだ作り笑いはしてしまうけど、偽らずにいれる場所は見つけました。

中学生の私が出した答えが合ってたのかは覚えてませんが、ノートにはこう書いてました。

「人は生きるために生まれてきたのだと思います。」