21
師走なのに年末感がないまま日々を過ごしてる。
毎年あっという間と思うが、今年は少しだけ感覚が違う気がしている。
毎年何もないまま今年が終わると師走になるといつも焦るが今年は特に焦ることがない。
そう思うのは2月に個展をやったことが大きい。
もう随分と前のことのように思えて仕方ないが、まだ今年のことであった。
展示後の春は今までにないほど前向きに写真を撮っていた。5月くらいまでは誰かに会ったりもよくしていた。6月にはある決意をして、1ヶ月ほど作品作りに集中し、完成したポートフォリオを応募した。
7月、とてつもない哀しみと憎悪に押し潰されて何のために、誰のために祈りはあるんだろうと思った。何もできなかった、誰も救えないと思った。
それでも私に光が少しだけ見えて、その光は決して掴めないけれど、追いかけようと思った。
8月、ポートフォリオの審査結果が届く。落選だった。審査員コメントを読んでもうまく理解ができなかった。わかったことは私は自分の中で起きたことを写真にし、感傷に浸って、それで満足してしまったということだった。
実家に帰ったときに何度も帰ってきなさいという母に車の中で「写真を応募したんだけど、だめだった」と伝えた。すると母は「私は写真のことなんてよくわからないけれど、賞がとれなくてもいいんじゃないかな。なっちゃんの写真を好きだという人がいることが大事なんじゃないかな。」と言ってくれて思わず涙が出ないように堪えた。
9月、応援はあまりないけどがんばろうと思った。
それなのに何に向けてがんばればいいのかわからない。何を撮ればいいのかわからない。誰にも会いたくなくて、誰とも話したくなくて。
それでも毎日は続く。朝になっていつも何もできなかったと繰り返す。
楽しい日々が永遠に続けばいいのにと思う。ずっと生きていてくれたらと思う。誰も死ななかったらと思う。誰も哀しい思いをしなければと思う。
でもそれは不可能だ。人の命は永遠ではない。
それなら人の思いなら永遠にすることができるのではないか。誰かに託すことは思いをつなげることはできるのではないか。
その姿は花に似ていた。枯れてしまってもその思いはきっと未来に届く。つながる思いがある。
どうか私の思いが花となって永遠になるように。
小さな祈りを込めて。